股関節術後早期の股関節外転・伸展反応時間、関節トルクの特性と動作能力との関連性

田中貴広 他

理学療法学 第42巻 第2号 (2015年)

みなさんお疲れ様です。

本日は術後の筋力低下ってなんなの?

という疑問に

こんな感じでとらえるのはどう?と紹介した論文です。

フリーで落とせるので是非ご活用ください。

僕は学生時代は手術したら筋線維が傷つけられて力が出にくくなるみたいな考え方で実習を乗り越えてきました。

今に思えばもっとこうしたほうが良いと思うこともあり、現在の学生指導に役立てるようにしています。

特に論文の活用は症例報告には必須となるため、大切に伝えています。

前置きが長くなりましたが早速行ってみましょーー。



初めに

反応時間(total reaction time:以下TRT)が転倒に関係し、手術侵襲はTRTを延長すると言われています。

TRTは主に2つに分けられます。

1つ目は運動命令から随意的筋活動が発現するまでの時間(premotor time:以下PMT)

2つ目随意的筋活動の発言から関節運動が出現するまでの時間(Electromechanical delay:以下EMD)

PMTは中枢過程を反映し、EMDは直列弾性要素のゆるみ程度を要する末梢過程を反映しています。

トルク増加率(Rate of force development:以下RFD)は手術侵襲で低下し、術後の歩行能力に影響する可能性があります。

この研究はTRTとRFDに関するデータと歩行能力との関係を明らかにする目的となっています。

Nは人工骨頭置換術2例、γネイル3例

結果

股関節外転TRTは患側が1カ月延長した(P<0.01)。

股関節外転PMTも患側2カ月に比べ患側1カ月で延長していた(P<0.05)。

EMDは有意差を認めなかった。

最大トルクの健患比は患側1カ月に比べ患側2カ月で優位な増加を認めた(P<0.05)

増加率(RFD)は最大トルクから20%のところで患側股関節外転・伸展ともに1カ月より2カ月で有意に増加が認められた(P<0.05)

歩行速度は1カ月よりも2カ月で有意に改善を認めた。

歩行速度との相関関係は股関節伸展の最大トルクとRFD20%で認めた。



考察

股関節外転TRTの延長はPMTの延長、すなわち中枢過程の変調に起因している可能性がある。

最大トルクの健患比とRFD20%の結果から術後早期の筋力低下は神経機能の抑制が関与していると考えられる。

他の研究でRFDはα運動ニューロンの発火頻度や発火パターンの変調に影響を受けることが報告されています。

この研究では歩行速度の回復は股関節伸展トルクに影響を受け、トルク発現に至るまでの神経活動よりも、トルク発言から漸増初期のα運動ニューロンの発火頻度などの神経活動の影響を受けていると考えられると筆者は述べています。

私的解釈

股関節の骨折後の筋力低下について、みなさんはどうお考えでしょうか。

神経的な側面で考えたことはありますか?

どんな感覚が脳に入っていくかで運動は決まってくると私は思っています。

骨折術後の患側下肢の感覚なんて想像を絶するものがあるでしょう。

術後早期の筋力改善は神経的な側面があり、これは同時に感覚の改善が大切な要素と思います。

私はこのような患者様に無理な可動域練習は行いません。

可動域は曲げるものではなく曲がるものだと思っています。

良好な感覚の立ち上げが非常に重要と思います。

私的意見ではありますが、もし目の前の患者様が顔をゆがめながら毎日リハビリをしているのではあれば、すこし視点を変えて、股関節に良好な感覚を与えるようにしてみてはいかがでしょうか。

患者様も痛くなく、我々セラピストも痛みに耐えている顔を見なくてよくなり、お互いHappyになるのではないでしょうか。

ぜひHappyな治療をしたいものです。

本日も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。



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