
療法士のための生理学の復習と活用
血管興奮収縮連関を理学療法士の視点から考える
大塚 亮先生
みなさんお疲れ様です。
本日は10月16日に行われたセミナーの後記になります。
今回は第1回目の自律神経系を踏まえて、血管の収縮と弛緩についてお話しいただきました。
弛緩機能について
血管の弛緩は内皮細胞が重要になります。
内皮細胞から血管平滑筋へ作用することによって弛緩反応が起こります。
これには今のところ3つの機能が関与していると考えられますが、今回はNOとEDHFについてお話がありました。
内皮細胞はアセチルコリンや応力などの刺激によってNOを生成します。
NOを血管平滑筋へ送り血管を弛緩します。
さらに内皮細胞自体が過分極することで血管平滑筋へギャップジャンクションを通して電位を伝搬し、血管平滑筋を弛緩させます(EDHF)。
加齢や高血圧・糖尿病では内皮細胞機能は低下してしまうそうです。
そんな中、運動療法の効果としてNOによる血管弛緩機能が改善することが報告されています。
理学療法士も内皮機能にアプローチできる可能性があることを示唆しています。
収縮機能について
血管の収縮には交感神経が重要です。
交感神経ということはアドレナリンが重要になってきます。
アドレナリン受容体は大きく分けるとαとβがありますが、それぞれにさらにサブタイプが存在します。
αは原則的に興奮性、βは抑制性の効果(心筋は収縮)をもたらします。
血管の収縮はαが関与します。さらにサブタイプによって動脈と静脈で
このような受容器にたいして機能を作動する役割を担うことができるものをアゴニスト、抑制するものをアンタゴニストと呼びます。
薬効はこのアゴニスト・アンタゴニストが受容器のどのタイプに働くのかが重要になります。
副作用にも同じことが言えるので、明日から薬の作用をしらべるとより具体的にわかってくると思います。
最後に
大塚先生は講義のなかで、理学療法士の可能性について話して頂きました。
「理学療法士は生命を助けることができる」
私みたいな普通のセラピストはこの言葉を聞くとADLやQOLを向上させることによって、健康寿命を延ばすことなどを考えます。
大塚先生は運動をすることによってよりミクロな部分で身体に良い生理学的作用があり、これは全体をうまく調節している身体にとても有益であるとおっしゃっています。
薬だけでは救うことができないような命も、救う可能性があるということです。
これにはまだまだ基礎研究が必要となりますが、先生はこの分野を突き詰めていきたいとおっしゃっています。
今後のご活躍に期待しつつ、また機会があったらお話しをしていただきたいです。
聞きなれない言葉がたくさんあり難しい内容もありましたが、本当に貴重なお話を聞けました。
大塚先生ありがとうございました。
セミナーに参加していただきました方々もありがとうございました。
大塚先生より、ダイレクトメッセージをどんどん下さいということでした。
血管の話しだけでなく、自律神経系や生理学・生化学的な話など質問してみてください。
喜んで話してくれますよ!!
本日も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。