運動のしすぎは身体に悪い

PAPER Column

Constrained Total Energy Expenditure and Metabolic Adaptation to Physical Activity in Adult Humans

Harman Pontzer et al.Curr Biol.26(2016)410-417

はじめに

入院中の高齢者に運動処方をしたり、筋力トレーニングをする際に何を基準に行っていますか?

超高齢者が筋力トレーニングをした際の効果については議論の余地がありますが、超高齢者であっても筋力トレーニングによって筋力の向上がみられたという報告はあります。

「だから入院患者には筋力トレーニングをする」というのは非常に短絡的。

筋力をつけてもADLに汎化されないなら意味ないですよね?

例えば、誤嚥性肺炎等で入院した高齢者、恐らく2週間程度で退院になると思います。

この患者さんにひたすら筋力トレーニングを提供する事は意味があるのでしょうか?

今回紹介する論文は、一つの答えを示してくれています。

結論

”人間が1日に消費できるエネルギー量には限界がある”

研究内容

まずは左図を見てください。

私たちは仮に一日中寝ていても、消化や免疫等によってエネルギーを消費しています。(otherの部分)。

ここに運動(physical activity)が加わると、図のように消費する合計のエネルギーが右肩上がりに増えていくイメージありませんか?

でも違うんです。

右図を見てください。

実際に計測してみると上昇するエネルギーはある程度で頭打ちになり、基礎代謝に関わるエネルギーが減少していたということが明らかになりました。

まとめ

一定の度合いを越えて運動をすればするほど、免疫機能といった防御機構の働きを低下させて辻褄をあわせているのです。

実際に私たちが非常に疲れたとき、無理をしたときというのは風邪をひきやすかったり体調を崩しやすかったりしますよね。

臨床アイディア

では最初の話に戻ります。入院した高齢者に対し激しいトレーニングをした際に、急に認知機能が低下したり、別の身体機能の異常がでてきたりといったケースが時にありますが、これはこうした身体の働きによるものと考えられます。

当たり前ですが私たちはただやみくもに筋力トレーニングをすればよいのではありません。

例えば、廃用症候群の方々に対して筋力が落ちているから筋力トレーニング、というプログラムは最悪です。

それはむしろ全身状態を悪くしている可能性がある、という事を考えなくてはなりません。

患者さんの年齢、栄養、入院前の運動習慣など考慮した上で介入していくべきです。

そういった方々に対しては、エネルギー消費や身体運動の努力を求めずに、楽に動いていけるようなリハビリテーションを提供する必要があります。

方法論は様々ですが、この書籍が参考になると思いますのでご一読ください。

本日もありがとうございました。

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