
Early Rehabilitation After Stroke: a Narrative Review
Elisheva R. Coleman, Rohitha Moudgal, Kathryn Lang, Hyacinth I. Hyacinth, Oluwole O. Awosika, Brett M. Kissela, and Wuwei Feng
みなさんお疲れ様です。
本日でこの論文のコラムは最後にしようと思います。
本日の内容は
①非侵襲的脳刺激
②ロボット工学
についてです。
運動リハビリテーションにおける非侵襲的脳刺激【non-invasive brain stimulation:NIBS】
経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct-current stimulation : tDCS)は電極を用いて頭皮の上から1~2mA程度の微弱な直流電気を、約10~30分間通電する手法です。
磁気刺激を用いる、経頭蓋磁気刺激(TMS)というのも知られています。
これらの効果についてはばらつきがあるみたいです。
Rossiらによる2013年の試験では、虚血性脳卒中発症2日後に50人の患者を募集し、病変した大脳半球の陽極下tDCSを偽刺激と比較したところ、脳卒中発症5日後と3ヵ月後のFMMSで、両群間に有意差は認められなかったとしています。
この研究については脳卒中の重症度の幅が広く、皮質病変が大きいことがリミテーションとしてあるみたいです。
刺激すべき神経基質がない場合(すなわち、一次運動野が破壊されている場合)には、tDCSはそもそも利かないことが考えられます。
そのほかCI療法を組み合わせた実験もありますが、行動変化を引き起こすほどの差異はなかったようです。
しかし、皮質興奮性に優位性は出ているようで、行動変化に結びつかない原因を探す必要があるかもしれません。
またtDCSとrPNS(反復末梢神経刺激:repetitive peripheral nerve stimulation)を組み合わせた研究では運動性能の向上が大きいことが報告されています。
tDCS単体での効果は脳卒中早期においては判明していないと思われます。
実際に慢性期のほうが効果的といっている研究もあるみたいです。
また負荷量も難しく、今後さらに研究されていく分野だと思います。
ロボット工学:Robotics
2013年に発症後5日以内にロボットを用いたチルトテーブルステッパートレーニング(※)を用いて介入し、脳血流・下肢筋力が有意に増加していたようです。
※ロボット傾斜テーブル(Erigo、Hocoma AG、Volketswil、スイス、)は、0°〜80°の間で傾斜できるストレッチャーと、脚に荷重をかけるための一体型スプリングを備えたフットプレートで構成されています。フットプレートはステッピングのような動きをします。
2014年に発症から2週間以内の患者にリハビリテーションを開始し、ビデオゲームを介した足関節底背屈のスポットトレーニングとストレッチを比較しています。
歩行速度については有意差を認めませんでしたが、ビデオゲーム群のほうが非麻痺側の歩幅が長ったようです。
Cruzらは、MCA脳卒中後に上肢運動障害を有する非下肢患者の上肢課題のパフォーマンスについて、3次元運動解析とターゲットを絞った振動フィードバックを組み合わせたSWORD(Stroke Wearable Operative Rehabilitation Device)と呼ばれるツールを評価しています。
脳卒中発症から登録までの平均期間は6.8日であり、主要アウトカムは手と口のタスクにおける1分間の正しい動作数を調べた。
この実験では正しい動作の回数を平均7.2/分増加させること(p < 0.001)が分かりました。
終わりに
今回もちょっと内容は薄かったかもしれませんが、遠くない未来に脳卒中リハビリに対する道具の使用は当たり前になる可能性があります。
その中で何を選択するかは非常に重要になってくると思いますのでこういった研究に目を光らせておくのも一つの手でしょうか。
それにしても知らない機械がまだまだありそうで私としては非常に興味が持てました。
さてさて本日も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。
次回は転子部骨折のリハビリテーションについて、最近学生さんと調べたものを乗せようかなと思っています。
次回もぜひ見に来てください。
お疲れさまでした。