病院はトヨタを超えられる!!

Book Column
ゆたしゅう
ゆたしゅう

皆さんこんにちは!

今日は病院の可能性について書かれた本の紹介です。

新人PT
新人PT

トヨタってあのトヨタ自動車ですか??

それを病院が超えられるっていうんですか?

ゆたしゅう
ゆたしゅう

そうだよ。

ただ、現状の制度では厳しいんだけどね。

新人PT
新人PT

僕のお給料もトヨタ並みになりますか?

ゆたしゅう
ゆたしゅう

それは君の頑張り次第かな(笑)

これから紹介する本は私一年目の時に読んで衝撃を受けました。

今でもこの考え方が僕の根底にあるんだ。

新人PT
新人PT

どんな内容なんですか?

ゆたしゅう
ゆたしゅう

この本最大の主張は病院の産業化でそれを輸出産業に成長させることなんだ。

そして国民皆保険の全廃を行い、医療の自由競争化を推進させようと提言しているんだ。

新人PT
新人PT

診療報酬なんて改正するごとに下げられていきますよね。

自由化することで他の産業と同様に成長を促そうってことなんですかね。

言い値で値段が決められるなら僕のリハビリは20分1万円にしようかな。

ゆたしゅう
ゆたしゅう

強気な価格設定だな(笑)

でも著者の心情はその逆でより良い医療をより安く提供することを実現しようとしているんだ。

新人PT
新人PT

そんなことできるんですか?

安いのに儲けようとしたら質が下がりそうな気がしますが。

ゆたしゅう
ゆたしゅう

質の話をするなら、全国一律の料金で受けられるリハビリはどうなのかな?

質の高い病院もあれば低い病院もあると思うし、そもそも人によってリハビリの内容まで違うじゃない。

一律の料金に違和感を覚える人もいるんじゃないかな?

そこで厚生労働省はアウトカムを求めるようになったけど、ここでも料金引き下げで業務量が増えるだけだから現場は困窮するだけだよね。

これは一例に過ぎないけど、国民皆保険も成立してから時代が経っているんだからゼロから構築しましょうというのが本書の主張なんだ。

新人PT
新人PT

なるほど、先輩方の時代と比べると随分書類が増えて、窮屈になっていますもんね。

じゃあ国民皆保険無くしてしまえばいいですね!

ゆたしゅう
ゆたしゅう

そう思うんだけど、最近になって気づいたんだ。

医療費削減は政府の政策方針が緊縮財政だからというのが大きいと思うんだよね。

財政拡大を進めて、医療費にも惜しみなく財源を充ててくれたら今の制度でも格段に良くなると思うんだ。

新人PT
新人PT

なんか経済の難しい話がはじまったぞ。

そんなことしたらまた増税されてかなわんですよ。

ゆたしゅう
ゆたしゅう

財源は国債で確保すればいい話なんだけどね、まあこの辺の話は僕ももう少し勉強してから本の紹介をするよ。

自民党総裁選の経済政策に注目だね。

新人PT
新人PT

政治はよくわからんです(笑)

いろいろ勉強して大局的に物事を捉えるのは何となく大切そうです。

ゆたしゅう
ゆたしゅう

そこが分かれば十分!

では内容を細かく見ていきましょう!

「病院」がトヨタを超える日
北原茂実著 2011年11月

目次
序章:医療は日本最大の成長産業だ
第一章:八王子から始まる医療立国プロジェクト
第二章:国民皆保険幻想を捨てよう
第三章:医療がこれから日本の基幹産業になる
第四章:日本人だけが知らない世界の医療産業の実態
第五章:日本医療を輸出産業に育てる方法
第六章:医療崩壊こそ大チャンス

医療崩壊の正体

コロナ禍においては頻繁に医療崩壊が叫ばれるようになりましたが、本書は2011年に出版された本です。

実は以前から医療崩壊の危機を唱える人たちが居たのです。

著者は東大卒の脳神経外科医です。

大学病院にて勤務しながら経営について学び、現在では八王子で病院を経営しています。

その著者は医療崩壊について以下の様に言っています。

「医療の現場が荒廃し、医療崩壊が叫ばれている原因は財源不足です。」

考えてみればそうですよね、これだけ人手不足が叫ばれているのに診療報酬は引き下げられ、給料はカットされる一方です。

働けば働くほど医療の現場は赤字になってしまうのです。

結果として人件費を削り、現場の負担が増え、医療事故に繋がり、離職も増えていくという流れができてしまいます。

病院で経営を任されている人でさえ、上手く経営ができず、人手不足にも関わらず、赤字なのは人件費のせいだと言っているのです。

現場の私から見れば、経営がもっと人材に投資すれば離職も減り、医療の質が向上すると思うのですが。。

医療費が削られているため経営者も切羽詰まってしまっているのでしょう。

つまり、医療崩壊とは医療費崩壊なのです。

では日本の今の総医療費はどれくらいなのでしょうか?

令和元年で43兆円です。

本書が執筆された2010年は35兆円でした。

少しづつ増えてはいますが、もっと増やしてもいいと思います。

数値だけでは実感がわかないと思うのでGDP比でみると先進国最下位の規模になると言われています。

35兆円で最下位???

世界はそれだけ医療の重要性を理解して投資をしているということです。

2016年でも16位と何とも微妙な順位です。

日本という国は世界的にみると医療費にお金をかけていないという国ということを理解しておいてください。

ではなぜ、そうなっているのかというと国民皆保険という制度が原因として挙げられます。

国民皆保険の幻想

ここ最近の医療水準は大幅に向上していますが、医師のレベルが上がっている訳ではなく、医療技術が向上しているだけです。

良質な医療を提供しようと思ったらそれだけで設備投資が必要となる時代なのです。

それなのにも関わらず、診療報酬点数は過去数十年にわたってほとんど伸びず、凹凸を調整するだけでした。

本書の中でもいかに診療報酬の決定の仕方が杜撰かということが紹介されています。

2006年の診療報酬改定では全体の3・16%引き下げられました。

これは当時の政権が「聖域なき構造改革」を掲げて総医療費を一兆円引き下げろと命令し、それをパーセンテージに換算すると3・16%だったというだけの話なのです。

国民皆保険制度の問題は他にもあります。

例えば心臓病の手術でもA病院は生存率80%、B病院では60%、C病院では30%ということが実際に起こっています。

それは医師も人間だから差が出るのは当然ですよね。

しかし厚生労働省は国民皆保険制度の建前とアウトカムの精神は両立しないということで開示を拒否しています。

民間から価格決定権を奪い、国が価格を決定して全国一律のサービスを目指そうとする国民皆保険制度はそもそもが社会主義的な発想です。

その他にもインフォームドコンセントなどの概念はアメリカの様に1日10人しか診なくていい状況では十分に説明できるかもしれないですが、日本のように医師不足の国では困難となりつつなります。

国民皆保険は安価な医療を実現しているため、国際的にみても日本は受診する頻度が高いと言われています。

安価なため夜間や救急車を利用して受診するコンビニ受診も問題になっています。

医師が不足しているうえにお客さんがひっきりなしに受診する状況なので説明も不十分になり、安易な医療が増えると著者は指摘しています。

そのための解決策は簡単です。

国民皆保険制度を見直せば良いのです。

35兆円規模の巨大産業

考えてみれば少子高齢化が進むにつれて医療費は増えていくのは当然ですよね。

しかし政府の関係者はそうは考えず、医療費の抑制を推し進めていきました。

例えば介護福祉士は看護師の人件費抑制のために作られた資格でした。

政府関係者はこれから介護分野で人手不足になるからリストラで職を失った人は介護分野で働いておけというように考えていたのです。

高い医療費が国を亡ぼすと考え、医療費を抑制する政府ですが、なぜそう考えてしまうのでしょうか?

それは医療を産業としてみていないからです。

利益を生み出さない税金を食いつぶすための施しとしか考えていないので医療費が減ることで経済が良くなると考えているのです。

これは今の政府だと当たり前の考え方です。

政府がお金を使わずに無駄をカットし、全て民間に委託する。

これではいつまで経ってもデフレ脱却できず、経済は良くなりません。

これまでの考えと180°考えを転換して積極的に医療費にお金をかけるべきなのです。

しかし、そう簡単に現在の政府の考えを変えることはできないでしょう。

そこで著者が提唱しているのは病院の株式化です。

病院を株式化することで「施し」イメージからの35兆円規模の成長産業として捉えることができるようになるのです。

ビックリですよね。それについてもう少し見ていきましょう。

産業としての病院

先程の話を聞いて、病院の株式化について違和感を覚える人の方が多いと思います。

その違和感は①医療は公的サービスであって、産業という言葉は相応しくない。

②医療の産業化といっても、結局は保険料や税など国民負担が増えるだけだ。この二点に集約されると著者は言います。

①については国鉄の民営化を例に挙げています。

それに加え、市場原理が働かない場所こそ癒着や談合が生じてしまうし、現場の人間のモチベーションは低下してしまうと指摘しています。

そうはいっても僻地の公的病院などは残す必要があり、それとは別に医療法人という縛りを無くしてしまおうというのが著者が提唱する産業化の本旨なのです。

②については現行の制度のままではその通りになるだろうとしています。

しかし病院が株式化するだけで市場からお金を集めやすくなり、最新機器の導入もし易くなります。

ドラックラグの問題も解消され、新薬の使用もし易くなります。

病院株式化により国民負担、税金負担を引き下げることも可能となるはずです。

そもそも税金の中でも消費税はすぐにでも止めた方がいいと私は思いますが(笑)

職員の待遇も変わってきます。

待遇が変わればモチベーションも維持することができます。

当たり前の話ですが、報酬系が回らないのにモチベーションを維持するというのは神経生理学の視点から見ても困難ですよね。

このように医療が巨大産業として活躍することができれば、自動車産業を超えて日本の基幹産業となり得るのです。

まとめ

どうだったでしょうか?

頭のいい人はここまで考えているんですね。

現状の制度では設備投資をすればするほど病院は赤字を出すようになっています。

裏を返すと何もしない最悪の病院が一番儲かっているのです。

こんな現状で良いのでしょうか?

リハビリも年々点数を減らされて肩身の狭い思いをしなければならない状況です。

私は学生の頃からこの仕事が好きで、誇りをもっていますが、診療報酬が下げられるたびに世の中から私たちの仕事は評価されていないんだなという気持ちになりました。

それどころか最近では無駄な書類を増やして、無駄な会議を増やして、達成するのが困難な条件を算定要件とすることで医療費と介護保険費を絞っているのが現状です。

これではただでさえ忙しい現場をより圧迫してしまい、医療の質は下がる一方のように感じます。

本書に書かれている病院の株式化、国民皆保険制度の全廃は一つの選択肢だと私は思います。

でももっと簡単に現状を変える方法もあると思います。

緊縮財政から積極財政に政治を転換し、政府が医療費に惜しみなく投資してくれれば良いのです。

そんなことをしたら税金が上がって国民の負担が、、、、って思いますよね。

でも安心してください。

私たちの国は日銀に通貨発行権があり、自国通貨建ての国債が発行できるためデフォルトはあり得ないのです。

政府が国債を発行して日銀が買い取り、政府がお金を使えば問題ないのです。

詳しいところはまたの機会にしますね。

本書の後半では世界の医療事情について書いてあり、病院を産業として輸出するために著者の経営する病院でやっていることが書かれています。

これについても大変興味深いのですが、割愛させて頂きます。

ぜひ本書を読んでいただきたいです!!

という訳で、私たちの職業でも経済について学ぶことは大切ということがわかりましたね。

今後は経済の本についても紹介していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました!

comment

タイトルとURLをコピーしました