最高の脳で働く方法part3

Book Column



お疲れ様です。

今回も最高の脳で働く方法の紹介をしていきたいと思います。

今回で3回目ですね。次回で最後にしたいと思いますが、まとめきれる自信はありません。(笑)

それだけ内容の濃い一冊となっています。

是非手に取って読んでみてくださいね!

さて、今回は第3章の「他者と協力する」を紹介していきます。

中々難しい問題ではありますよね。

医療現場でセラピストと看護師はなんでいつも対立してしまうのでしょうか?

そのヒントが本書には書かれています。

それを知ることができれば円滑なチームプレーができるようになると思います。

それでは早速紹介していきたいと思います。

敵を味方に変える

第3章最初のシーンでは電話会議で上手く議論できず、口論に発展してしまう場面が紹介されています。

冗談を侮辱と捉えて更なる言い合いに発展するという場面も紹介されています。

第2章のメインテーマだった大脳辺縁系は社会環境において敏感に反応します。

ポジティブな社会的手掛かりが無い限り、人間はあっという間に「不信」に陥ります。

社会神経学者たちは人間の脳には見る・動く・聞くなどを司る他のネットワークと類似した社会のかかわり全てを担う社会脳ネットワークが備わっていると考えています。

社会脳ネットワークは内側前頭前皮質、左右の腹外側前頭前皮質、前帯状回、島皮質、偏桃体などが関わっています。

社会脳ネットワークは生まれつき備わっている機能と考えられています。

その証拠に新生児は誕生からわずか数分で、どの写真よりも真っ先に顔の写真の方を向きます。

また、赤ちゃんは話せるようになる随分前の生後6か月で嫉妬などの高度な社会的情動を経験するとされています。

マズローの欲求の階層説は学生の頃学んだと思います。

「きみの脳はなぜ愚かな選択をしてしまうのか」でも説明されていましたが、本書ではマズローの説に対しては否定的です。

その根拠として脳の基本的な生存欲求を満たす際の脳回路と同じネットワークで社会的欲求に対処していると多くの研究で明らかにされているからです。

そこで重要なのが大脳辺縁系の一端である偏桃体です。

というのも社会におけるつながりの感覚は脳にとって一次的報酬であり、つながりの欠如は一次的脅威になるからです。



ミラーニューロン

社会的なつながりの大切さは何となくわかりましたが、脳はどのように繋がりをつくっているのでしょうか?

1995年にイタリアのパルマ大学に所属する神経科学学者ジャコモ・リゾラッティによってミラーニューロンが発見されました。

ミラーニューロンの特異性として、特定の意図がある行動をとるのを見た時だけ発火する点が挙げられます。

そのためミラーニューロンは他者の意図、目標や目的を理解し、その結果、相手との繋がりを感じるための脳の仕組みと考えられます。

カリフォルニア大学のミレーラ・ダプレットによる自閉症の研究でミラーニューロンの重要性が示唆されています。

その研究で自閉スペクトラム症の脳ではミラーニューロンが損傷していることが明らかにされています。

そのため、他者が考えている事、意図していることが正確に読み取れず、人との交流に支障をきたしてしまいます。

人は注意を払う社会的手掛かりが無ければ、他者の情動とつながることはできません。

その逆も当てはまり、社会的な手掛かりが多いとつながりは豊かになり、時には厄介なつながりができてしまいます。

ミラーニューロンは電話よりビデオ通話、ビデオ通話より直接話すことでより活性化されるとされています。

このことを知っておくことで誤解によってトラブルに巻き込まれたりせず、他者とうまく連携することができると思います。



敵か味方か

脳は無意識にあらゆる状況を報酬か脅威かに分類しています。

人に対しても同じで敵か味方かに分類しています。

脳が味方と判断したとき、自分の経験を考えるのと同じ脳の部位を使ってやり取りを処理するそうです。

また、接近の情動反応も生じ、前頭前皮質の舞台にも余裕が生じます。

自分の思考、情動、目的を他者と共有するとき喜びの化学物質であるオキシトシンが放出されます。

オキシトシンが接近行動を促しています。

従ってオキシトシンを生成する状況が生じない限り、動物的本能によって私たちは心を閉ざして他者を敵とみなしてしまいます。

では味方をつくるメリットは何なのでしょうか?

プリンストン大学のダニエルカーネマンはある研究で最もしたいことは何かを女性に尋ねました。

結果は意外にも「友人との付き合い」でした。

良質な社会的つながりや安心できる結びつきがある環境の中でこそ脳はうまく働くようになっています。

さらにシカゴ大学のジョン・T・カチョッポは社会脳に関する研究で孤独を感じている人と健全な社会的つながりを持つ人との間で血圧に30ポイントの差があることを突き止めました。

孤独が心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めます。

カチョッポは他者とのポジティブなつながりを持ち、結びつきを感じることは、人間の基本的な欲求であると結論付けています。

孤独を避け、味方に囲まれることで思考が改善し、「他者の目を通してみる」ことで新しい視点から状況を見ることが出来るようになります。

でも世の中味方ばかりではありません。

誰かを敵とみなすとオキシトシンの分泌は減少し協力の感覚は減少してしまいます。

しかし敵から味方へ移行させるには簡単です。

それはつながりの質と量を高めることです。

誰しも知らない人に対しては警戒し、自然と敵とみなしてしまいがちです。

案外、雑談や仕事以外の話が重要であり、そこに十分な時間を割くことで味方は増えていきます。

ぜひ、仕事を円滑に進めるために仕事以外の話をして繋がりを持てるようにしてみてください。

もし、上司に怒られたらこのコラムに書いてあることを説明すれば上司も納得するはずです。(笑)

公平を貫く

他者と協力するために重要な事として公平性を保つことが挙げられます。

公平感はそれ自体が報酬反応を生み出し、不公平感は何日も続く脅威反応を引き起こす恐れがあります。

ある研究では公平な提案を受けると、信頼感と連帯感の自己評価が高まると明らかにしています。

しかし世界は公平ではありません。

ここでも重要なのはラベリングと再評価です。

不公平感を感じた時にはまず、ラベリングを行い、大脳辺縁系を落ち着けましょう。

効果がない場合は再評価を行い、適切な判断が下せるようにしましょう。



ステータス

第3章最後の話題はステータスです。

ステータスは公平性に並び、社会的行動の決定要因です。

ステータスの高まりを感じると金銭よりも大きい報酬の感覚を得られ、ステータスの低下を感じると命の危険にさらされているように感じると本書では表現されています。

それだけ重要視されています。

社会神経学者のアイゼンバーガーは」排除や拒絶は生理的な痛みを伴う。相手より下にいるという感覚は身体的な痛みに関わる部位と同じ部位を活性化する。」としています。

上記の結果からもわかるようにステータスの低下は強烈な経験として記憶されます。

人間が間違うことを嫌うのは身の危険や自信喪失を感じるようなステータスの低下につながるからです。

逆にステータスが向上する感覚は理由が何であれ、報われたと感じるように配線されています。

ステータスの向上がドーパミン、セロトニンなどの幸せを感じる化学物質の濃度を高めます。

更にはテストステロンレベルが上昇し、コルチゾールレベルは低下します。

ステータスが高いことによりポジティブな神経化学作用の上昇スパイラルを生み出すことができます。

他者と協力するためにこの事実を生かすためには自分の立場が高い場合に自分の立場を相対的に低くするような発言をすることが重要となります。

また、他者と比較するのではなく、自分と競争することで自身のステータスが向上する感覚を体験していきましょう。

自分と競争することは自身の脳と向き合う事にもなります。脳に対する理解を深めることはパフォーマンス向上に繋がると考えられます。

感想

第3章は社会脳が話の中心でした。

3章まで話が進んでくると1章、2章の話が前提として書かれていますので記憶の強化が進んでくると思います。

チーム医療が重要だと良く聞きますが、臨床ではしばしば協力が得られない場面も見られます。

そんな時は味方をつくりましょう。

相手の大脳辺縁系に働きかけることが出来れば、患者さんの離床や喀痰の吸引も快く引き受けてくれるようになります。

ステータスは理学療法士、作業療法士ならそこまで気を配る必要は無さそうですが、カンファレンスなどで発言する際はあえてステータスを下げることで相手の脅威反応を軽減させ、スムーズに話がまとまると思います。

そんな感じで脳科学はいくらでも応用が効きます。

次回はいよいよ最終回です。

最後の章では自身の脳の理解したうえで他人に影響を与えていく方法が書かれています。

次回もお楽しみに!

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。



comment

タイトルとURLをコピーしました