新型コロナとワクチン知らないと不都合な真実

Book Column

峰宗太郎・山中浩之著 2020.12



目次
第一章;新型コロナの基礎知識と振り返り
第二章;治療薬とワクチン、基礎の基礎
第三章;「核酸ワクチン」への期待と不安
第四章;ワクチンとヒトの免疫、基礎の基礎
第五章;新型コロナ対策の「湯加減」
第六章;やっぱり知りたい、PCR検査
第七章;「無制限PCR検査」が見せた理解のズレ
第八章;根拠の薄い話に惑わされない思考法
第九章;誰を信じるのか、信じていいのか?

読みやすさ★★★★☆
エビデンス度★★★☆☆
リハビリ関連度★★★☆☆

皆さんお疲れ様です。

今回は前回に引き続いて新型コロナウィルスに関する本の紹介をしたいと思います。

本書は米国在住の峰宗太郎さんとジャーナリストの山中浩之さんによるインタビュー形式の本になっています。

読みやすい反面、新型コロナウィルスとワクチンについて必要な知識についてしっかり書かれています。

私なりにまとめつつ、内容を紹介してみました。

ではさっそく見ていきましょう!

感染のしやすさを示す基本再生回数

前回紹介した本にも基本再生回数の話が出てきました。

前回のcolumnを読んでくれた人もおさらいをしておきましょう。

基本再生回数とは集団全ての人が免疫がついていない状態において、1人の感染者から何人に感染させるかという平均値です。

「R0」アールノートと読むそうです。

最初の450例が報告された時点でR0は2.2でした。

つまり、だいたいひとりが2.2人にうつすということです。

最近は2.5が採用されています。

基本再生回数が1以下だと自然終息すると言われています。

そのためMERS-Cov(マーズコロナウィルス)はR01以下なので大規模な流行は起きていません。

また、基本再生回数は感染経路によって変わります。

空気感染する麻疹はR0が18近くあります。

新型コロナウィルスは飛沫感染が主体でインフルエンザに近い感じです。

ただ、新型コロナウィルスの厄介な点はR0が少なくても無症状の人が多いので感染に気付かず人にうつしてしまう点です。

だから「国民全員にPCR検査を実施しろ!」などというトンデモない意見が出てきたのです。

それをやったところで、感染拡大が防げないということは容易に想像できると思います。



感染対策について

対策の基本はやはり飛沫を防ぐことが重要です。

ウィルス込みの「飛沫」というのは長くて4mまで拡散するという報告があります。

しかし大抵は2メートル以内に重力で落ちてしまいます。

そのため冬場に加湿器で空気を加湿する意味はそこにあります。

加湿することで粒子を重くして浮遊するウィルスを減らす効果もあるようです。

また、ソーシャルディスタンスをとることの根拠は飛沫の距離に由来しています。

その他の本書で紹介されている対策は以下のリストにまとめました。

・栄養と睡眠をしっかりとる。
・手指衛生の徹底
・咳エチケット
・3密を避ける
・体調不良者と接触しない、体調不良なら外出しない。
・マスクの着用
・十分な換気
・うがいについては水で十分

どれもニュースなどでよく聞いたことがあることだと思いますが、睡眠と栄養も重要だと本書では主張しています。

実は睡眠と栄養の重要性は多くの研究で示唆されているとのことです。

あとはうがいですが、日本の研究で水道水のうがいは上気道感染を防ぐということが分かっています。

うがい薬を使うと逆に上気道感染を防がないというのです。

これにはビックリですね!

治療薬について

治療薬には対ウィルスと対免疫があります。

対ウィルスはその名の通り抗ウィルス薬が挙げられます。

抗ウィルス薬はメインプロテアーゼ、ORF1abなどの「酵素」と呼ばれるたんぱく質がターゲットになります。

コロナウィルスの場合はRNAの中の自己複製機能をつかさどる「RNA依存性RNAポリメラーゼ」(RdRp)という酵素がメインターゲットになります。

ここに作用すればウィルスの増殖を邪魔することができます。

その作用を持つ抗ウィルス薬の一つが「ファビピラビル」です。

通称「アビガン」です。

他にも「レムデシビル」などがありますが、いづれも別のウィルス向けからの転用になります。

アビガンはインフルエンザウィルス、レムデシビルはエボラウィルスのRdRpを阻害します。

同じウィルスだからある程度の効果が見込めたんですね。

一時期アビガンを飲んで劇的に症状が改善したなどという患者さんの声が聞かれましたが、本当に薬が効いたのでしょうか?

科学的には実際にRCT(ランダマイズ・コントロールド・トライアル)をやらないと薬が効いたとは言えないのです。

国内では藤田保健衛生大学が2020年7月にRCTの結果を出していますが有意差は無かったとしています。

これについては症例数が少ないという意見もあったりしますが、全体として研究の数が少なく、評価が定まっていない状態です。

日本敗血症診療ガイドライン2020では「酸素投与を必要としない軽症患者にファビファラビルの投与を弱く推奨する」としています。

酸素投与を必要とする中等症~重症の患者では推奨を提示しないとしています。

現時点では慎重な意見が多くなっています。



ワクチンの主流、不活化ワクチン

不活ワクチンはウィルスをホルマリンなどに漬けて不活性化します。

体内で増殖しない様にしてその成分を生成します。

その成分を実際に打ってみたら感染、病気が防げるということが分かったのです。

これが不活ワクチンです。

不活ワクチンでは実際に感染する訳ではないため、効果が長いこと続かなかったのですが、これを解決するためにアジュバンドというものが考えられました。

アジュバンドは免疫系を刺激して効果を促進してくれます。

今や世界中で使用されている不活ワクチンですが問題点もあります。

そのひとつがウィルスを増殖してから精製するため、量産には限界があるということです。

その問題を解決すべく70年代以降のバイオテクノロジーの急速な発達が新たなワクチンを生みます。

ウィルスを増やさなくても、ウィルスの成分の一つだけを人工的に作ったらどうだろうという発想が出てきました。

これが組み換えワクチン、成分ワクチン、コンポーネントワクチンと呼ばれるものです。

これらを人に打ち込んだらちゃんと免疫ができましたが、不活ワクチンと同じ理由で刺激が弱いです。

そして遺伝子工学の発展とともに新たな発想のワクチンが生れる事となります。

これまではウィルスの一部を用意して体に入れていましたが、ウィルスの成分であるタンパク質を人の身体のなかで作らせてもいいじゃないかという発想が現れたのです。

しかもこの方法なら製造が比較的簡単、管理が容易、コストが安い、量産しやすいというメリットがあります。

その一例が「ウィルスベクター」です。

遺伝子治療にも使われる先端的な技法です。

遺伝子操作などで自己複製能力と増殖力を失わせたウィルスに、患者に欠落している遺伝子を組み込んで体内で増やすというものです。

ちなみにベクターは運び屋の意味があります。

チンパンジーのアデノウィルスを使って新型コロナの遺伝子の設計図を我々の身体に打ち込むと、アデノウィルスがどこかの細胞に感染させて、免疫系を刺激します。

どこの細胞かはまだ誰も知らないみたいです。。。。

ちょっと怖いような気がしますが、はやく解明されると良いですね(笑)

アストラゼネカ製のワクチンはこのウィルスベクターワクチンとなっています。

最近ニュースで血栓ができて亡くなった症例が頻発していると話題になっていましたね。

一時、接種を中断する国が増えましたが、結局、副反応よりメリットが上回るとWHOが発表しました。

今後も注目が必要となりそうです。



核酸ワクチンについて

最近になってドラックデリバリーシステムという身体のどこにどのように薬を届けるかという技術が発展しました。

それに伴いDNA、RNAを身体に打ち込めば細胞の中に入られるという技術ができたのです。

それが核酸ワクチンです。

2019年時点では核酸ワクチンの実現には10~20年かかると考えられていました。

ところが新型コロナウィルスの出現とともに急速に技術が発展して2020年12月8日にイギリスで核酸ワクチンの接種がはじまります。

それまで人類が体内に入れたことのないワクチンの接種が始まったのです。

核酸ワクチンの開発は従来のワクチン開発の10倍速の速さで進みました。

その大きな理由の一つが治験期間の短縮です。

本来なら10年以上かかる過程をパンデミック下では1年でやり遂げてしまった訳です。

これを「すごい」と思うか、「大丈夫なの?」と思うかは人それぞれだと思いますが、私は正直後者の方です。

今月中にワクチン接種する予定となりましたが、怖いです。(笑)

大規模な人体実験みたいになっていますが、結果を見るとどうやら免疫系はしっかり反応するようです。

ただ、副反応の報告も頭痛を含めると相当数出ています。

2回目の接種後に副反応が出やすい傾向があるようです。

前回のcolumnでも紹介した抗体依存性感染増強は今のところみられていません。

どうやら悪玉抗体はできていないようです。

まあでもリスクゼロなワクチンは無いですから、副反応に関する過剰な報道に反応する必要は無いと思います。

しかし、先行して接種した国のデータに注目する必要はあると思います。

90%を超える有効性の意味は?

米ファイザーは「第三相臨床試験の最終解析で95%の有効性が示された。」と発表しています。

次いで米モデルナでもmRNAワクチンで94.5%の有効性があったと発表しています。

この9割以上の有効性はどういう意味なのでしょうか?

これは大規模なランダム化比較試験で偽薬投与群に対してワクチン投与群でのリスク比が0.5、つまりリスクを比較すると95%以上減ったという話なのです。

もう少し具体的にみていくと、18歳から85歳の4万例をワクチンあり、なしに分けて普通に生活してもらうのです。

何が言いたいかというと意図的にウィルスに暴露させている訳ではなくて、自然に感染するかどうか「観察」をしているということになります。

感染機会があったかどうかが分からないので、「ワクチンを打つことで9割の人が感染しない」という訳ではありません。

9割と言われるとすごいと思ってしまいますが、本書中で紹介されている思考実験をしてみましょう。

米国の感染者数は2020年11月6日時点で約16万人です。同日の日本は1685人です。

もし国民全員にワクチンを打って9割に効いたとします。

ニューヨークではそれでも1万4千人、日本では168人です。

日本では効いている感じがありますが、実際に国民全員がワクチンを打つなんてことはありえません。

よくワクチンを接種したらマスクつけなくてもよくなるのか?とか聞かれることがありますが、ワクチンを打てば大丈夫ということにはなりません。

実際の戦いはもう少し厳しいものになり、基本的な感染対策は続ける必要があると思います。



まとめ/感想

今回も新型コロナウィルスに関連した本を紹介しました。

前回紹介した新型コロナ7つの謎と内容が被っている部分も多いので基本的な免疫システムの説明などは割愛しています。

気になる方はこちらも読んでみてください!

しかし、記憶の強化には丁度いいので興味がある方は読んでみてくださいね!

さて、ワクチン接種が始まっている日本ですが、厚生労働省のホームページで副反応が生じた症例の報告数をみることができます。

もちろんアナフィラキシーショックとなった症例も報告されています。

ニュースではこういった事象がピックアップされているので、漠然とした不安を覚えやすいですが、免疫の基礎知識、ワクチンの基礎知識を得ることで不安を払拭できるし、誤った判断をしなくて済むと思います。

何を隠そう私自身がワクチン接種に漠然とした不安があったので今回、本書を紹介するに至りました。

あとは、ネットで調べ様々な情報に触れてみてください。

コロナ禍と呼ばれている状態は今も続ており、様々な情報で溢れかえっています。

何が正しくて何が誤っているのか判断するのは自分自身です。

今の世の中を生き抜くには莫大な情報の中から自分自身で情報を選び取る姿勢が重要だと思います。

今回紹介した本もぜひ参考にしてみてくださいね!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回も楽しみにしていてくださいね!



comment

タイトルとURLをコピーしました