影響力の武器

Book Column

ロバートチャルディーニ著 社会行動研究会訳 2014.7

目次
第一章;影響力の武器
第二章;返報性
第三章;コミットメントと一貫性
第四章;社会的証明
第五章;好意
第六章;権威
第七章;希少性
第八章;手っとり早い影響力

読みやすさ★★★☆☆
エビデンス度★★★★☆
リハビリ関連度★★☆☆☆
専門性★★★☆☆

皆さんお疲れ様です。

人間の心理に関する本です。

主には相手から承諾を引き出すテクニックを6つ紹介しています。

スーパーで試食をしたり、街頭でポケットティシュを配ったり、無料サンプルをダウンロードできたりなど、、

その後なぜか欲しくないのに買ってしまった、募金してしまった、会員登録してしまった。

なんてことはありませんか?

これらは返報性の法則に基づいて行われています。

承諾を引き出すためのテクニックなのです。

その他にもコミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性などがあります。

本書は個人的にはかなり面白い内容と思いましたし、あのメンタリストDAIGOさんも影響を受けたと話しています

悪い話に騙されないためにもこれらの知識は知っておいて損はないと思います。

では、早速内容を見ていきたいのですが、まず、動物行動学について見ていきましょう。

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カチッ サー

1974年に動物行動学者のフォックスが行った実験を紹介します。

七面鳥の母鳥と毛長イタチの剥製を使って行った実験です。

毛長イタチは七面鳥の天敵で、母鳥はイタチが近づくと激怒して鋭い鳴き声を上げてくちばしをつつき、爪でひっかきます。

この実験ではイタチが剥製だったにも関わらず、剥製を母鳥に近づけるとすぐに強烈な攻撃をします。

ところがイタチの剥製にテープレコーダーを埋め込んで、ひな鳥の鳴き声を流すと母鳥はイタチの剥製が近づくのを許したばかりではなく、自らの翼の下に抱き込んでしまったのです。

テープを止めるとイタチに対する攻撃が再開されます。

こうした行動は固定的動作パターンと呼ばれます。

カチッとボタンを押すとサーっとテープが回って一定の標準的な行動が現れるのです。

そのようにプログラムされてしまっているのです。

これは人間にも同じことが言えます。

例を挙げると心理学者エレン・ラガーの実験があります。

図書館のコピー機で並んでいる人に「五枚だけなので先にコピーを取らせてくれませんか?急いでいるので」といいお願い事に理由を添えるとお願い事が通りやすいという効果を確かめました。

結果は94%もの人が先にコピーを取らせてくれました。

ところがどっこい、「すみません、5枚だけなんですけど、先にコピーを取らせてくれませんか」と頼むと順番を譲ってくれたのは60%にすぎませんでした。

人間のカッチ サーを誘発する言葉は「急いでいるので」だったのです。

厳密にいうと「ので」という言葉で人間は自動的にお願い事を聞いてしまうのです。

もう少し例を見ていきましょう。

ある宝石店ではターコイズが売れずに困っていました。

店主は速く売ってしまいたかったので、従業員に1/2で売るようにメモ書きして伝えます。

それを見た従業員は見間違いで2倍の値段で店頭に並べました。

すると完売してしまったのです。

値段が高い=良質なものというステレオタイプが働きこのような結果をもたらしたのです。

このように人間はいちいち色々な事を考えなくても済むように思考の近道が用意されています。

時にはそれが有利に働きますが、時にはそれを利用して搾取しようと目論んでいる人もいます。

冒頭でも述べたように承諾誘導のプロたちは大きく分けて6つの武器を使用して私たちに要求を飲ませようとしてきます。

その中で最も強力とされているのが返報性の法則です。

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返報性

この返報性の法則は「他人がこちらに何かの恩恵を施したら、自分は似たような形で恩返しをしなくてはならない」というルールです。

少し前に半沢直樹を見た人なら「あっ大和田常務ね!」と思うかもしれません。

「施されたら、施し返す、恩返しだ!」という名言がありましたね。

この法則はそのままです(笑)

恩恵を与えてくれた人に対して将来恩返しをせずにはいられなくなってしまうのです。

しかもこのルールの厄介なところは相手の事が好きか嫌いか関係なく発動します。

よく使われているのが飲食店で伝票にキャンディーやミントを添えて渡す方法です。

日本では幸いにしてチップという文化はありませんが、ささやかなプレゼントを貰うことでチップの額が大幅に増加するというデータがあります。

また、お店に来たいと思うようになる可能性も高くなります。

あとは試供品もいい例です。

とある訪問販売の会社ではBUGという手法が用いられています。

販売員がバッグを顧客の家に届け、「無料なので2日ほど置かせてください。良ければ製品を試しに使ってください。」と説明してます。

期間が終わると顧客の家に行き欲しいものの注文をとります。

一件で試供品が終わることは滅多にないので周辺地域でこのバッグを使いまわします。

この方法でとある訪問販売会社の売り上げは格段に上がったのです。

もちろんこの手法にも返報性の法則が用いられています。

返報性の法則にはもう一つ大きな特徴があります。

それは余計なお世話をされた場合でも恩義を感じるようにできているという点です。

この特徴は何ら悪いことではないですが、返報性の法則を悪用しやすくしているのは受け取る義務の方です。

ささやかな贈り物に対してもそれを断るのは多くの場合で困難なことが多いです。

返報性の法則がいかに強力かご理解いただけたと思います。

自分が飲みたくない要求を飲まされないようにこうした知識を知ることが重要です。

それに加えて、これらの知識を得ることで相手に要求を飲ませやすくなるということを理解しておいてください。

具体的にこの知識はリハビリテーションにおいても非常に重要になってきます。

例えば、運動嫌いな人に対して自主トレの要求をどう受け入れさせるか?

自主トレじゃなくても良いです、目標設定の時に困難と思われる目標を受け入れさせるにはどうしたらいいか。

こうした事象に対しても返報性の法則を用いることで有利に話を進めることができます。

拒否したら譲歩法

返報性のルールを利用した承諾誘導のテクニックとして「譲歩的要請法」が有名です。

本書の中では「拒否したら譲歩」法として紹介されています。

やり方はとても簡単です。

まず確実に拒否される大きな要求を相手に出します。

それを相手が拒否した後にそれよりも小さなあなたが受け入れてほしい要求を出すのです。

これらの要求を上手く組み合わせることができれば相手は二番目の要求に対して譲歩してくれたから私も譲歩しなければという圧力が加わります。

すると二番目の要求は受け入れられる確率は格段に上がります。

医療・介護業界は贈り物をするのは難しいので返報性の法則を利用することが難しいと思われますが、「譲歩」も立派な贈り物になるのです。

これを上手く利用することで患者さんを良い方向へ導ける可能性が広がると思います。

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知覚のコントラスト

高価なスーツを買うよりも買った後の方が一緒に買うセーターの値段が高くなりがちになってしまいます。

それは知覚のコントラストの原理が働くためです。

先に大きな買い物をしているとそれより安いもの品物の値段がより安く感じてしまうのです。

だから物を買う時は安いものから買うことをお勧めします。

返報性の法則とコントラストの原理は同時に働くことが多いため、より強力に働くということを覚えておきましょう。

例えば、私が誰かに500円貸してほしい時は先に1000円貸してほしいと頼むことで500円くらいなら、、と思わせることができます。

この例ではコントラストの原理と返報性の法則が同時に働いています。

これほど強力な法則、原理に防衛法はあるのでしょうか?

完ぺきではありませんが、もちろんあります。

返報性の法則を使用して私たちを丸め込もうとする人に対して最善の方法は親切の申し出に対して杓子定規に拒否するのではなく、親切は誠意に受け取り、後で計略とわかったらそれを計略と再定義することで要求を拒否することができるはずです。

コミットメントと一貫性

二つ目の影響力の武器を見ていきましょう。

二人のカナダ人心理学者が、競馬場に居る人たちについて興味深い事実を見出しました。

それは自分が賭けた馬の勝つ可能性について、馬券を買うよりも買った後の方が勝率を高く見積もるということです。

これはひとたび自分がしてしまった事に対して一貫していたいという本能的欲求で私たちの心理に深く根付いています。

ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミットメントする)と自分の内からも外からもそのコミットメントと一貫した立場をとるように圧力がかかります。

その圧力のせいで自分の決断を正当化しながら行動するようになるのです。

自分のした選択が正しいと言い聞かせるだけで、自分の満足度は上がります。

これも基本的にはこの原理もカチッ サーです。

思考の近道として働いてくれています。

これは上手く生き抜くための性質なのですが、これを上手く利用している人たちがいます。

おもちゃメーカーがいい例です。

おもちゃの売り上げが最も伸びるのは、クリスマス直前です。

おもちゃメーカーの抱える問題はその後2ヶ月間売り上げが落ち込むことです。

おもちゃメーカーもいろいろ試しましたが正攻法は成功しませんでした。

ところがおもちゃメーカーは良い方法を思いつきます。

それはクリスマス前から魅力的なおもちゃのコマーシャルを流して宣伝します。

子供たちは当然、それが欲しくて親に約束を取り付けます。

しかしおもちゃメーカーは店に少ししか商品を卸しません。

大半の親はおもちゃが売り切れているので同じくらい魅力的な(高価な)おもちゃを買わざるを得なくなります。

もちろんメーカーは代用品をたっぷり流通させています。

クリスマスが終わったら再びコマーシャルで宣伝します。

そうなると子供たちは前以上にそのおもちゃが欲しくなるのです。

そして約束した親も一貫性の原理に導かれお店に足を運ぶのです。

この原理も協力でおもちゃメーカーの1月、2月の売り上げは順調に伸びたようです。

この強力な一貫性のポイントはコミットメントにあります。

どんな些細な事でもコミットメントをすることでその立場を通そうとしてしまうのです。

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段階的要請法(フットインザ・ドアテクニック)

最初に小さな要求を飲ませてそれに関連するもっと大きな要求を通すというやり方を段階的要請法と言います。

拒否したら譲歩法とは真逆のテクニックですね(笑)

ある研究ではこの方法について実験しています。

カリフォルニアの住宅を回り、一軒一軒の家主に「安全運転をしよう」という看板を置かせてほしいとお願いしました。

カリフォルニアのその地域は魅力的な家が多く、看板でその外観が壊されてしまいます。

当然ながらこの要求の承諾率は17%でした。

ところがある特定のグループの承諾率は76%にまでなりました。

このグループは実験の2週間前に小さなコミットメントをしていたのです。

それは「安全運転をするドライバーになろう」という3インチのシールを貼ってもらったのです。

2週間前の小さな要求を飲んだことでずっと大きな要求を飲むこととなってしまったのです。

これをリハビリテーションにも上手く利用することができます。

例えば、患者さんに自主トレをさせたい場合には誰でもできるような簡単で回数も少ないものをやってもらいます。

その1週間後には自分が本当にやってもらいたい自主トレを伝えます。

そうすることで患者さんは自主トレをするというコミットメントをしているため、少しハードルが上がった課題でもやらないと気持ち悪いと感じるのです。

その他にもリハゴールを設定したら患者さんにその目標を書いてもらいましょう。

こちらから一方的に提供するというものではなく、患者さんの主体性が大事なのです。

そして書くという事には魔術的な力があります。

書いたことによって自分の立場が明確になります。

そうすると自分は一貫した人間に見られたいと思うのでその立場を維持したいという強い気持ちが生れます。

コミットメントと一貫性も強力な影響力の武器です。

活用次第では自分の思っている通りの結果が得られるようになるかもしれませんね。

余談ですが、「結果にコミットする」というのは誰もが聞いたことのあるキャッチーなフレーズです。

最近、ゆきぽよがチャレンジしたあのパーソナルトレーニングのcmです。

広告としては素晴らしいですが、コミットメントと一貫性の立場からみると少し違います。

正解は「ささいな目標にコミットする!」です。(笑)

防衛法

コミットメントと一貫性の影響から身を守るためには胃と心の奥からの合図に耳を傾ける必要があります。

胃からのサインは一貫性を保とうとするが為にやりたくもない要求を飲まされそうになっていると気づいたときに現れます。

それに気づいたら自分はそんなものにこだわりたないと自分に言い聞かせましょう。

最初のコミットメントが間違っているかどうかわからない時は今知っていることはそのままで、時を戻したら同じコミットメントをするだろうか?ということを自分に問いかけてみてください。

いずれにしろこのコラムを見て、コミットメントと一貫性を知ったことが一番の防衛法だと私は思います。

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まとめ/感想

今回は「返報性」と「コミットメントと一貫性」について見てきました。

これらはカチッ サーの反応で自分でも気づきにくい現象です。

そして強力に作用します。特に返報性は最も強力に作用します。

知覚のコントラストと組み合わせるとより強力に作用することを見てきました。

コミットメントと一貫性もほんのささいなコミットメントが後の大きな要求を飲みやすくする可能性があることを見てきました。

とにかく人間は自分は一貫した人間であるということを周りに証明したいのです。

いくつか例を挙げましたが日常生活を振り返ると「返報性」「コミットメント一貫性」が利用されている場面は山ほどあります。

皆さんもぜひ振り返ってみてください。

そして、カモにならないように気を付けてくださいね!

次回は影響力の武器の続きを見ていきたいと思います!

今回も最後まで見て頂き、ありがとうございました!(^^)!

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