学校で習わない腸脛靭帯の“本当の”停止部

Anatomical relationship between the distal ˆber component of the iliotibial tract and the lateral stabilizing structures of the knee

Masahiro MIURA, Hidekazu AOCHI, Ikuo KAGEYAMA.第10回臨床解剖研究会記録.(2006)

はじめに

長脛靭帯は介入部位になることがまあまあありますよね。

特に下肢の問題(変形や手術)が生じた時にはここが硬くなってしまったり、滑りが悪くなることは多い印象です。

そんな長脛靭帯ですが、本当の停止部、知っていますか?

養成校で停止部はいくつかある、と教わった方が多いと思いますが

“そんなもんじゃありません”

今回は解剖から分かった腸脛靭帯の本当の停止部と、そこから臨床アイディアを考えます

結論

腸径靭帯の停止部は3層構造になっていて、7つの線維束が発見された。

つまり停止部だけで最低で7つあることが確認された。

研究内容

医学部に献体された解剖用成 人遺体 8 体(16側)の骨盤−下肢を観察した。

構成線維束の同定には線維解析を用いた。

腸脛靭帯の停止部の微細な構造は走査電子顕微鏡を使って観察した。

腸脛靭帯の遠位線維(停止部)は、大腿前後で大腿筋膜と 大腿二頭筋筋膜との間で癒合していたが、主部は両者とは 明確に区別できた。

特に、後方線維は外側筋間中隔の形成に密接に関与していた。

腸脛靭帯停止部の線維構築は、浅深 3 層の 線維構築と約 7 つの線維束(Ⅰ~Ⅶ)に分かれていた。

(下図.画像は論文からお借りしています)

浅層線維束は、主に大腿筋膜張筋と殿筋表層部由来の腱膜からなり、P 表層(Ⅰ) と P 側方(Ⅱ)に付着した。

中間層は、大腿筋膜張筋と大殿筋の中層部由来の腱膜からなり、Gerdy 結節前方部(Ⅲ)に付着した。

深層線維は殿筋の深層部由来 の腱膜と外側筋間中隔の構成線維が規則的にGerdy 結節後方部(Ⅳ~ Ⅴ)とその周囲(Ⅵ~Ⅶ)に付着した。

また、中・深 層部由来の線維束(Ⅱ~Ⅳ)は大腿骨外側上顆の骨隆起部を包み込むように走行し、それらは集束したのちGerdy 結節に付着した。

外側筋間中隔由来の腱膜はすべてGerdy 結節の後方付着線維の緊張帯としてⅣ・Ⅴ線維 束を補強した。

腸脛靭帯遠位線維は、膝関節90°屈曲では膝蓋骨外方と大腿骨外側上顆後方の2 固定点がGerdy 結節を軸とした一直線上に並 ぶことで線維重複して強く捻れた。

同構造は屈曲30~50°可動域で大腿骨外側上顆全体を被い、それを内方に圧迫した。

臨床アイディア

ということで小難しいことを色々と書きましたが

要するに、腸脛靭帯は膝蓋骨や脛骨などへ複雑に絡み合いながら付着しているということです。

しかも層構造まで作っているというから驚きです。

ということは、膝の挙動にかなり影響を受けますし、また与えるということですよね。

当然股関節にも。

膝や股関節の問題が見られたら、必須のチェックポイントだと言えます。

そして治療は層間の滑りも意識するとより効果的でしょう。

今回の論文のように、解剖学を基に評価・治療を構築していく上でとてもヒントになる書籍があるので貼っておきます。

本日もありがとうございました!

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