動きが心をつくる

春木豊著 2012.8

目次
はじめに
第1章心が生まれる前
第2章心の誕生
第3章動き、体、心
第4章心が先か、動きが先か
第5章動きから心へ
第6章レスぺラント反応と生理・心理との関係
第7章新しい人間の全体像
第8章人間の根源の様相
第9章からだ言葉
第10章エンドボディマインド
第11章生活を豊かにする身心統一ワーク
おわりに

読みやすさ★★★★☆
リハビリ関連度★★★☆☆
エビデンス★★★☆☆

前回から目次を載せるようにしています。というのも読書におけるスキミングという技術をご存じでしょうか?私も最近知ったのですが、速読のテクニックのひとつです。


スキミング=拾い読みです。


私は目次から興味のある章に目星を付け、その章から読み始めます。

その際、自分が知りたい、得たい知識、または持っている知識を思い浮かべながらどんな内容なのかを予測します。


読み終えた後、予測した内容と実際の内容がどうだったのかを振り返ります。これだけでその本の理解度がかなり変わってきます。

また、時間も節約できます。

私も本を読み終えたのは良いけどいまいち内容が思い出せないということがありますが、そんな経験がある人は試してみてください。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は「動きが心をつくる~身体心理学への招待」という本を紹介していきます。よろしくお願いします!

心が先か?動きが先か?

本書では身体心理学について説明されています。

様々な研究を通して心と動きが切っても切れない関係だということを示してくれます。

本書を理解するにはまず。心の起源を考えていかなければなりません。

進化の過程で見ていくと、動物は大脳によって、環境に働きかけて適応したのではなく、環境が動物に働きかけて行動を引き起こし、適応してきたのである。

そして行動の結果、その行動を保存して、次に同じ事態が生じたときに能率よく対応するため、記憶の器官である大脳を発達させてきたのである


と本書では語られています。つまり身体心理学においては行動(動き)が大脳(心)をつくった。という立場をとっています。

レスポンデント条件付け/オペラント条件付け

では動きが心をつくったとして、本書では条件付けを用いて心の起源を説明しています。

皆さんもご存じのレスポンデント条件付けとオペラント条件付けです。

レスポンデント条件付けは古典的条件付けとも言われており、条件刺激に対して条件反射が生じるというものです。

パブロフの犬が有名ですね。

オペラント条件付けは道具的条件付けとも言われており、条件刺激を加え、その後電気などの刺激(無条件刺激)を与えると逃げ回ると無条件反応が生じます。

繰り返していくと条件刺激だけで回避反応がみられるというものです。


一見似ていますが、レスポンデント条件付けは条件刺激がないと条件反射は起きなくなります。

これを消去といいますが、オペラント条件付けでは消去がなかなか起こりません。


この二つの条件付けは身体心理学の中心となりますので覚えておくと本書を読んだときに理解度が高まると思います。

本書の分類を用いて少しわかりやすくまとめます。

レスポンデント条件付け;生理的反射、無意志的、無意識的反応、内臓系の反応

オペラント反応;意図的反応、意志的、意識的反応、骨格筋系の反応
となります。しかし、動作や体動には両者の性質を持つものがあります。反射でもあり、意志的でもできる反応。それがレスぺラント反応です。

レスぺラント反応;反射と意図的反応の両者を含む。主に骨格筋系の反応

本書では以下に挙げる反応をレスぺラント反応として重要視しています。
「呼吸反応」「筋反応」「表情」「発生」「姿勢反応」「歩行反応」「対人距離反応」「対人接触反応」


上記のレスぺラント反応について研究を紹介しながら詳細に説明されていますが、長くなってしまうため、本の帯にも書かれている一部を紹介します。


・呼吸で「呼息」「腹息」「長息」の三つを意識すると、心が落ち着き、気力が充実する。


・筋肉の緊張を和らげると、恐怖心が治まる。

・笑顔を禁じると、面白いという感情も減る。


・ずっとうつむいた姿勢でいると、うつっぽい気分になり、前頭葉も活性化しない。


・速いテンポで歩くと、活動性が高まる。

・幼児期に母親と接触頻度が高いと、孤独感が低くなる。

上記のように動きから心に介入が可能なんです。理学療法士は知識として知っておくことで治療の幅が広がる気がしませんか?詳細はぜひ本書を読んでみてください。

気感とは

動きや体の因果関係はバンデューラの相互決定論にあるように相互に因果関係があると考えるのが正しいとしています。

心が動きに影響し、動きが心に影響する。言われてみれば当然ですよね。


では先ほど紹介したようにレスぺラント反応は体と心が密着した反応です。


体は物質として始まり、感覚器という構造を備えて感覚という性質を持つようになり、感覚を備えた体は動きとあいまって、心を生み出しました。


体と心を結び付けている根源的要素は感覚と気分であると考えられる。と本書は指摘しています。

その感覚と気分はほとんど区別することができないとし、感覚と気分を合わせた造語として「気感」という言葉を設けています。

この気感こそがレスぺラント反応により経験されることが重要と本書では語られています。

エンドボディマインド

この言葉も説明が難しいのですが、「エンドボディマインド」とは直訳すると「具現化された心」「身体化された心」となります。

本書では「充実した心」「実感のともなった心」と理解していいとしています。

充実した心。

すなわちエンドボディマインドを養成するには身心の根源である「気」の部分を充実させておかなけばならず、それはレスぺぺラント反応による気感の充実が必要と説明されています。

身心統一ワーク

本書が示すところの身心統一ワークはやはりレスぺラント反応を用いたワークです。呼吸、筋弛緩、表情、発声、姿勢、歩行、対人接触のことです。

特別訓練も必要なく、私もいくつか実践しています。なかでも呼吸法は瞑想と合わせて行う事が多いです。

まず、へそ上に軽く親指を当て、腰を後ろへ引き、それに伴って吸気をします。
次に引いた腰を前に突き出す動作をしながらゆっくりと呼気をします。

このような腰の前後運動により逆腹式呼吸になります。

この時に下腹部に注意を集中させます。息を吐ききったところでリラックス感を感じることができます。

逆に活気を出すためには呼気を短く、ハッハッと繰り返すのが良いとしています。

実際にやってみてください。興奮と鎮静の気感が感ずることができると思います。




感想

今回は少し長めの紹介になってしまいましたが、それだけ内容が充実した一冊となっています。

私の文章力じゃ詳細に伝えきれないほど良いことが書いてあります。

臨床においても生かせる内容だと思いますし、自分自身の心のコントロールにも有用だと考えています。

心理学といっても様々な分野がありますが、中でも身体心理学は理学療法士、作業療法士からすると読みやすい内容だと思います。

詳細が気になる方は是非読んでみてください。

2012年初版と少し古い本ですが、研究やデータも引用されています。最新の論文などを調べて、比較してみるのも面白そうですね。

それはPAPERcolumnに譲るとしましょう(笑)


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