ミトコンドリアダイナミクスについて

運動と骨格筋のミトコンドリアダイナミクス

中野大輝先生・町田修一先生

みなさんお疲れ様です。

あけましておめでとうございます。

昨年一年はみな様どんな1年だったでしょうか?

私はこのコラムを書かせていただくようになり、いろいろ知識が増える一方で、勉強不足を痛感しました。

ほんの少し探せばいろいろな知識が転がっていることを感じました。

最近はちょっと時間が作れず、コラムを書けずにいますが、来年はもっとコンスタントにコラムを書けるよう努力し、私みたいなものでも皆さんの臨床のお役に立てる情報を発信できるようにしていきたいです。

さて、前回の告知通りにミトコンドリアダイナミクスについて記載されている論文がありましたのでご紹介していきたいと思います。



初めに

筋萎縮・肥大の原因は筋サテライト細胞や筋タンパク質の合成と分解の観点からアプローチしたものが多かったが、近年はミトコンドリアが関与している可能性が示されています。

ミトコンドリアダイナミクス

ミトコンドリアは融合と分裂を行うことで品質管理(機能保持)を行っています。

ミトコンドリアDNA(mtDNA)はいろいろな要素で損傷され、機能低下が発生しますが、ほかのmtDNAと癒合することで相補し機能を維持するということがあります。

しかし、融合しすぎても、分裂しすぎても様々な病気に係ることが近年の研究で分かってきています。

ミトコンドリアの融合にはMitofusin 1および 2(Mfn1,Mfn2)とOptic atrophy 1(Opa1)が関わっています。

※Opa1をノックアウトすると骨格筋の萎縮と全身性の老化が促進される報告もあります。

分裂にはDynamin related protein 1(Drp1)およびFission protein 1(Fis1)が関わっています。

骨格筋ミトコンドリアにおいては酸化ストレスがミトコンドリアダイナミクスに影響を与えると考えられています。

酸化系能力が高いSO線維やFOG線維のほうが解糖系能力が高いFG線維と比べてミトコンドリアの量が多くなっており、ミトコンドリア癒合促進タンパク質の発現量が高い状態で維持されています。

また形も長軸方向へ接続されています。



運動とミトコンドリアダイナミクス

先行研究などでは単回の運動では低強度よりも高強度での運動刺激に対して遺伝子発現レベルで変化することが示されています。

継続的なトレーニングを実施するにしても高強度トレーニングのほうが良いことが先行的な研究でも明らかになっていますが、低強度のトレーニングでも頻度・期間をコントロールするとMfn2などのタンパク質の発現量が増加することが示されています。

高齢になるとミトコンドリアダイナミクスは分裂優位になりやすいのですが、運動習慣のある高齢者ではミトコンドリアダイナミクスを促進するタンパク質の発現が多くなっていることが紹介されています。

筋の種類から考えると、もともとミトコンドリアダイナミクス関連タンパク質が高い水準で維持されている酸化系筋線維は発現量の変化が乏しいことが考えられます。

ミトコンドリアダイナミクス関連タンパク質の発現が低い解糖系筋線維のほうが関連タンパク質の発現量の変化が出やすく、より高いトレーニング効果が得られた可能性があります。

結論

ミトコンドリアダイナミクスを向上させるにはより高い運動強度での運動トレーニングが効果的であることが示唆されているが、どの程度まで高強度で実施するべきか、低強度であっても繰り返し刺激を与えるトレーニングに対する適応については現時点で不明な点が多く残されており、今後の検討課題であると最後に述べられています。

私的意見

ミトコンドリア機能について酸化系筋線維は常に高い水準で維持されているため、トレーニングしてもなかなかダイナミクスを促進することは難しいと考えらます。

私の臨床感としては高齢者の方や廃用が進んだ方は姿勢保持筋を優位に使えず、解糖系筋線維を多く使って運動を成り立たせることをよく見ます。

これは解糖系筋線維がどんどん鍛えられてしまうことも考えられます。

筆者の先生が最後に述べている低強度でも繰り返しの刺激を与えることというところが、もしかしたら酸化系筋線維のダイナミクスを変化せる手段になるかもしれません。

今回は筋機能改善についてミトコンドリアに着目している論文をご紹介しました。まだまだ分かっていないことが多いみたいですが、個人的には廃用が進んだ状態の変化や、高強度以外のトレーニングの仕方などがわかってくると臨床にもっと活用できるかなと思います。

なかなか難しい分野で私自身も論文をしっかりと理解しきれていません。

もしご興味のある方がいらっしゃいましたらフリーで入手できる論文ですのでご活用いただければと思います。

本日も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。



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