スマホ脳2

Book Column

皆さんこんにちは!

今回は前回の続きを見ていきたいと思います。

前回までを簡単におさらいすると狩猟採集民だった私たちの脳は現代社会に適応できていません。

それどころか狩猟採集民だった頃、生存に役に立っていたHPA系の働きや注意散漫などの現象は現代社会においては重荷になっています。

最終的にはうつ病になり、不安に駆られるようになってしまいます。

また、うつ病には役割があるという話も紹介しました。

そんな話を元にスマホが脳にどんな影響を与えるかという話もしました。

ドーパミンが過剰に分泌され依存してしまい、集中力がスマホやタブレットによって奪われてしまっているという話をしました。

今回はその続きなので奪われた手中力を取り戻す方法を紹介します。

その前に集中力について少し紹介したいと思います。



マルチタスクの代償

脳には膨大な情報を同時処理するすごい能力がありますが、集中力は別です。

私たちは一つの事にしか集中できません。

複数のことを同時にこなしていると思っていても、実際には作業の間を行ったりきたりしているだけなのです。

メールを打ちながら講義を聞いている自分はすごい!と思うかもしれないですが、それは集中の対象をパッパッと切り替えているだけなのです。

ある実験によると集中する先を切り替えたあと、再び元の作業に100%集中できるまで何分も時間が掛かってしまうといいます。

しかし世の中にはスーパーマルチタスカーと呼ばれるマルチタスクが得意な人がいます。

このような特徴をもつ人は人口の1~2%しかいないとされています。

余談ですが女性の方がマルチタスクが得意とされています。

私は本書を読むまでTVやラジオを聞きながら本を読んだりしていたのですが、絶対スーパーマルチタスカーではないので今後は辞めます(笑)

限りあるワーキングメモリー

マルチタスクの代償は集中力だけに留まりません。

ワーキングメモリにも影響が及びます。

ワーキングメモリは今頭にあることを留めておくための「知能の作業台」です。

メモに書かれた番号に電話を掛けるとします。

数字はワーキングメモリの中にあり、それは集中力と同様にかなり限定されています。

多くの人は6桁から7桁までしか覚えられないといわれています。

このことをマジカルナンバー7とか言われたりしますね。

そのため、ハイフンが役に立ちます。

ある実験では、モニターに次々と文を表示して、それを150人のティーンエイジャー見せました。

正しい文もあれば、めちゃくちゃな文もあります。

どれが正しいか答える課題です。

文は2秒しか表示されないため、迅速に答えなければいけません。

しかもスクリーンには気が散るような情報が表示されています。

結果はどうだったでしょうか?

被験者にはマルチタスクに慣れているという若者もいましたが、結果はマルチタスクに慣れている若者の方が結果が悪かったのです。

特に苦手だったのが気を散らすような情報を無視することでした。

常に気が散る人は脳が最適な状態で動いていないということです。



サイレントモードでもスマホは影響する

集中力もワーキングメモリも同時作業をすると悪影響があるということは理解できたと思います。

「だったらスマホの電源切ってポケットにしまえばいんでしょ?」

そう思ったかもしれませんがポケットにしまっただけではスマホのもつ強大な影響力は抑制できないようです。

大学生500人を対象に記憶力と集中力を調査した研究では、スマホを教室の外に置いた学生の方が、サイレントモードでポケットにしまっている学生よりも良い結果が出ました。

同じような現象が複数の実験において認められています。

それでも凄まじい量の情報に触れたほうが脳が鍛えられるような気もします。

いわゆるネットサーフィンでいろんな情報に触れてもそれは身になっていないのです。

情報が多くても次から次へと注意を切り替えているだけなのです。

残念ながら気を散らすものが周りにあればあるほど注意散漫になってしまいます。

グーグル効果とは

別の場所に保存されているからと、脳が自分で覚えない現象をグーグル効果とかデジタル性健忘といいます。

脳はその情報よりも、その情報がどこにあるのかを優先して記憶します。

ある実験では被験者に美術館を訪問させて何点か写真を撮るよう指示します。

翌日、美術館の作品の写真をダミーを交えて見せました。

課題は、写真が美術館で見た絵画と同じかどうか思い出すことです。

判明したのは写真を撮っていない作品はよく覚えていましたが、写真を撮った作品はそれほど覚えていませんでした。

脳はなるべく楽をするようにできているのです。

「写真でみれるし、グーグルで調べればわかるのだから覚えなくていいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、私たちには知識が必要なのです。

電話番号くらいなら問題ないですが、あらゆる知識をグーグルが代用することはできません。

情報を作業記憶から長期記憶へ移行するための固定化は個々の体験と情報を融合させて知識を構築するのです。

便利な世の中ですが、すべてグーグル先生に任せるのではなく、知識を構築し、創発することが人間らしさになると私も思います。



マルチタスクによって間違った場所に入る記憶

記憶は脳の様々な場所に保存されます。

例えば事実や経験は海馬へ自転車の運転や泳ぐなどの技術を習得する時には大脳基底核の線条体へ入力されます。

複数の作業を同時にしようとすると情報は線条体に入ることが多いです。

つまり事実を記憶したいのにマルチタスクを行う事で刺激が誤って線条体に入力されてしまいます。

記憶が部分的に欠落してしまうことになるのです。

記憶とは複雑なシステムですが、情報量が多すぎると深刻な影響が起こると考えられます。

スマホでうつになる?

前回紹介したように長期的なストレスはうつになる危険性を高めます。

抗うつ薬の服用は過去十年で急激に増加しました。

丁度、10年前にスマホが登場しています。

スマホがこの増加を招いたのは想像に難くないですが、スマホのせいでうつになる可能性はあるのでしょうか?

サウジアラビアの研究ではスマホ依存とうつに「警戒すべきレベル」の強い相関性があると結論付けています。

中国でもスマホをよく使う大学生は孤独で自信がなく、うつが多いことが確認されました。

オーストリアでは、うつを患う人はスマホを極端に多く使うケース多いと判明しています。

これ以上研究例を挙げなくてもスマホがうつになる危険を高めることは明白です。

もちろん100%スマホのせいとは言い切れません。

それでもスマホに運動と睡眠の時間を奪われているのは確かだと思います。

そうした生活習慣もうつ病のリスクを高めるので注意した方が良いと言えるでしょう。



ブルーライトの闇

うつにならない為には睡眠が重要ですが、私たちはなぜ眠るのでしょうか?

答えははっきりわかっていません。

ひとつ言われているのは睡眠中に脳の老廃物をきれいにしているということです。

睡眠不足は人間の機能も低下させます。

1日6時間以下の睡眠が10日続くと、24時間起きていたと同じくらい集中力が低下します。

更には情動を不安定にし、扁桃体は過剰に反応するようになります。

もうひとつは記憶の固定化です。

睡眠中に長期記憶が形成されるとされており、それは別のもので代償できないことが知られています。

つまり睡眠できなければ記憶力は低下してしまうのです。

しかし近年は不眠の若者が増えています。

その原因の一つがスマホのスクリーンからでるブルーライトにあります。

体内リズムは光を浴びることで制御されています。

メラトニンというホルモンの働きが重要で、日中は少ないですが、夕方に分泌量が増え、夜中には最多となります。

光を浴びすぎるとメラトニン分泌を抑制して暗いとメラトニンの分泌が増加します。

どういう光を浴びるかも重要でブルーライトにはメラトニンを抑制する特殊な効果があります。

人間の目の中にはブルーライトにだけ強く反応する細胞が存在します。

私たちの祖先にとってブルーライトは晴れ渡った空から降ってくるものでした。

だからスマホやタブレットを使うと脳は元気になってしまうのです。

【ブルーライトカットのメガネ】睡眠障害に効果はあるのか紹介

ブルーライトについての解説が分かりやすくされている動画を張り付けておくのでそちらを見て頂ければと思います。

眠りにつく前にスマホやタブレットを使用することでブルーライトが脳を目覚めさせ、メラトニンの分泌を抑えるだけでなく、分泌を2~3時間遅らせます。

それだけではなく、SNSやゲームの刺激によりドーパミンなどによる刺激で余計に脳が目覚めてしまいます。

これらは協力でそばに置いてあるだけで集中力を奪うばかりか寝室にスマホがあるだけで、睡眠が妨げられたというのです。

これは小学生2000人を対象とした調査の結果です。

ブルーライトの感じやすさは人それぞれです。

なんだか寝つきが悪いとか中途覚醒してしまう人は寝室からスマホを取り除くだけで熟睡できるかもしれませんよ。

脳は身体を動かすためにできている

約100人の小学5年生に4週間毎日運動させ、実験を始める前と終了してから一連の心理テストを行いました。

すると集中力が増しただけでなく、ひとつの事だけに注意を向けるのも上手くなっていました。

しかも情報処理も速くなっていました。

驚いたことに少しの運動でも効果があるということです。

毎日たった6分間の運動で集中力が取り戻せるのであれば現代において運動は必須と言えると思います。

しかし大人ではどうなのでしょうか?

似たような実験で効果が確認されています。

ではなぜ運動で集中力が増すのでしょうか?

それは私たちの祖先がよく体を動かしていたからです。

狩りをしたり、自分が追われたりした時には、最大限の集中力が必要となります。

脳の大部分はその頃とわっていないので身体を動かすことで集中力が増すということです。

それだけではありません。

運動は不安やストレス軽減にも効果があります。

定期的にランニングをしたりジムに行って筋トレをしている人は何となく実感していると思います。

こういう実験もあります。

不安に陥りやすい大学生を2グループに分けて片方はきついトレーニング(20分のランニング)を、もう片方には緩いトレーニング(散歩)をさせました。

週3回の頻度で運動をして合計6回トレーニングをしました。

特に効果が顕著だったのはランニング組でした。

不安の軽減がトレーニング直後だけでなく、24時間効果が続きました。

それどころか1週間たっても不安レベルは低いままの人もいました。

心拍数を上げる運動は不安に対して効果的と言えそうです。

身体を動かすことはストレス耐性、集中力を私たちに与えてくれますが、現代人の運動量は下がり続けています。

あらゆる運動で知能的な処理速度を向上すると研究にて明らかになっています。

散歩でもランニングでもヨガでも筋トレでも効果ありです。

脳科学的に言えば心拍数は上げないより上げた方が良いと言えるでしょう。



著者からデジタル時代を生き抜くアドバイス

最後に本書のおわりに掲載されているデジタル時代を上手く生き延びるためのアドバイスを紹介します。

デジタル時代を上手く生き延びるための参考になればと思います。

自分のスマホ利用時間を知ろう
腕時計と目覚まし時計を買おう
毎日1~2時間スマホをオフにしよう
プッシュ通知は全てオフにしよう
スマホの表示はモノクロにしよう
運転中はサイレントモードにしよう
集中するときはスマホを手元に置かず、隣の部屋に置こう
スマホは寝室に置かない
チャットやメールをチェックする時間を決めよう
人と会っている時はマナーモードにして、一緒に居る相手に集中しよう
SNSでは積極的に交流したいと思う人だけフォローしよう
どんな運動でもいいから運動をしよう

とにかくスマホは持っているだけで集中力のゲージを減らしていくものだと考えてみましょう。

せめて寝るときくらいはスマホの事を忘れられると良いですね。

まとめ/感想

今回は2回に渡って本書を紹介してきました。

最近出た本で、本屋さんの新書ランキングでいまだ1位となっているところもあります。

世界では既にベストセラーになっている本です。

研究を根拠にして著者が診ている患者の話を交えて書かれています。

そのためエビデンス度は星4つにしました。

しかも読みやすくそこまでページ数もないため、手軽に読める本だと思います。

リハビリ関連度は脳科学的な内容なのである程度は関連しているかなと思います。

内容についてですが、スマホって便利な反面、脳にとてつもない影響力があるのだと本書で知りました。

しかも、私たちが思っている以上にその影響力は強いです。

知らないうちに集中力を奪い、うつ病になる可能性を高めてしまいます。

それでも近いうちにデジタル社会に脳は適応するのではないか?という疑問をもちませんでしたか?

著者はそれは無いと語っています。

むしろ脳が退化してしまう可能性を指摘しています。

狩猟採集民としての莫大な時間を過ごしてきているので適応するにしても莫大な時間を必要とするのです。

便利なデジタル機器ですが、上手く利用してスマホに依存しない生活をしたいですね。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。



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