
サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能とMyokine の意義
杉本 研先生
日本老年医学雑誌.49.2 2012年
みなさんお疲れ様です。
本日は筋力低下についてサルコペニアと廃用の違いの紹介や、ミトコンドリアの機能に着目したサルコペニアの原因について書かれている論文になります。
初めに
サルコペニアとは加齢性筋肉虚弱症と呼ばれ、加齢に伴い徐々に筋力が低下していく病態です。
要因としては運動不足・低栄養・ホルモン低下・慢性炎症・インスリン抵抗性などの代謝異常が考えられいます。
主に伸筋群、速筋線維が委縮します。
一方廃用性筋萎縮の場合、進行は急速で、遅筋線維が委縮します。
この二つの筋委縮は筋タンパク合成と分解のバランスが崩れることによって起こります。
私見
高齢になると早く動くことが難しくなるのは理解できます。また速く動かないことが続くとより速筋線維が委縮していくことが推察されます。
私的には高齢者が速く動けないのは、身体が速く動くときや動いた後の衝撃に耐えられないと判断してしまうからではないかと考えています。
もちろん代謝を促すようなトレーニングも必要と思いますが同時に身体が動きやすくなるトレーニングを行い、普段から動いたときに衝撃によるエネルギーが蓄積しないような体つくりが必要になると思います。
廃用性筋萎縮の方は重力の影響下で姿勢調整機能を使用しないことで遅筋線維が委縮してしまうのではないかと思います。
臨床でもこのことを頭に入れておくプログラム立案やゴール設定を考えるうえで良いのではないでしょうか。
例えば廃用性筋萎縮が疑われる高齢者を相手にするときに、もともとサルコペニアを有していると考えなければなりません。
離床機会を増やすと同時に筋力練習も合わせていく必要が出てくる可能性があります。
また、ただ離床を行うだけで廃用の要素を取り除けるのでしょうか。
姿勢調整が行われないような何かにもたれて重心の動揺が作れない姿勢をとっていても改善しにくいことが考えられます。
あくまで私見ですので、参考までにしていただければと思います。
今回は導入に書かれていることから少し臨床につながることを書かせていただきました。
次回はこの論文のテーマでもあるミトコンドリアの機能について書かせていただきます。